■硝酸性窒素!
硝酸性窒素(硝酸態窒素)とは、
硝酸イオンのように酸化窒素の形態で存在する窒素のことです。
通常は、硝酸イオンと金属が結合した硝酸塩の形態で存在していますが、
そのうち、窒素(N)の部分を硝酸性窒素(NO3-N)と言います。
硝酸性窒素は、体内で亜硝酸性窒素に変わると、メトヘモグロビン血症を引き起こしたり、
亜硝酸性窒素が発がん性物質であるニトロソアミンに変化する場合があるので、
人体に危険性があると考えられています。
ところで、イギリスや中国、インドでは、硝酸性窒素汚染が問題視されているそうです。
また、発展途上国でも、窒素施肥(農作物などに肥料を与えること)の増加に伴い、硝酸性窒素汚染が懸念されています。
近年は、世界中で、硝酸性窒素の危険性が注目されています。
また、窒素肥料や家畜の廃棄物などにより、
世界的に、地下水の硝酸性窒素汚染が問題視されているそうです。
また、近年の日本では、全国の地下水での硝酸性・亜硝酸性窒素の濃度が高くなっているそうです。
日本での硝酸性・亜硝酸性窒素の水質基準値は、10(mg/l)以下ですが、
環境庁の地下水調査によりますと、
長野県で、最大で66.0(mg/l)の硝酸性窒素が検出されたそうです。
ところで、地下水や河川に含まれる硝酸性窒素が、
湖沼やダム湖に流入すると、そこで富栄養化が起きます。
富栄養化が起きると、藻類やアオコが大量発生したり、赤潮になります。
藻類は、有機物を発生させるそうですが、有機物を多く含む水を水道水の原水に使うと、
有機物と塩素が反応して、発がん性があると疑われているトリハロメタンや、
得体の知れない危険物質と言われるTOXが生成されてしまうことになります。
また、アオコによって発生するミクロシスチン-LRという物質は、
青酸カリよりも毒性が強いそうです。
日本では、ミクロシスチン-LRの水質基準値はないですが、
世界保健機関(WHO)では暫定基準値が定められていて、
その基準値は0.001(mg/l)とされていますが、
近畿地方でその基準値を越えるケースが出てきているそうです。
ところで、硝酸性窒素は、浄水場で除去することが困難だそうです。
また、水道水に含まれる硝酸性窒素は、従来の浄水器では、除去できないそうです。
また、硝酸性窒素は、揮発性がありませんので、
硝酸性窒素の含まれた水を沸騰させても、硝酸性窒素を除去することは出来ません。
ところで、硝酸性窒素による地下水の汚染は、
農薬、除草剤、肥料、家畜の糞尿、生活排水などが原因です。
日本では、水道水の原水の25%ほどは地下水ですので、
硝酸性窒素が地下水に混入すると、
水道水にも混入します。
また、地下水の硝酸性窒素汚染により、
天然水にも硝酸性窒素が含まれています。
■亜硝酸性窒素!
亜硝酸性窒素(亜硝酸態窒素)とは、
亜硝酸イオンのように酸化窒素の形態で存在する窒素のことです。
通常は、亜硝酸イオンと金属が結合した亜硝酸塩の形態で存在していますが、
そのうち、窒素(N)の部分を亜硝酸性窒素(NO2-N)と言います。
土壌中では、通常は、亜硝酸性窒素が蓄積することはないそうですが、
窒素肥料の施肥量が多いと、亜硝酸性窒素が蓄積することがあるそうです。
日本の水道水では、亜硝酸性窒素の水質基準値は、0.04(mg/l)以下と定められています。
ところで、先ほど説明したように、
硝酸性窒素は体内で亜硝酸性窒素に変わると、メトヘモグロビン血症を引き起こしたり、
亜硝酸性窒素が発がん性物質であるニトロソアミンに変化する場合があるので、
亜硝酸性窒素は、人体に危険性があると考えられています。
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