トリハロメタンとは、メタンの中の4つの水素原子のうちの3つが、
ハロゲンに置換した化合物です。
トリハロメタンには、クロロホルム、ジブロモクロロメタン、
ブロモジクロロメタン、ブロモホルムなどがあります。
このうちクロロホルムは、
以前は吸引麻酔薬として、利用されていたそうです。
また、クロロホルムとブロモジクロロメタンについては、
IARC(国際がん研究機関)では、グループ2b(人に対する発がん性が疑われる)に含まれます。
ちなみに、グループ2bには、コーヒーや漬物も分類されています。
また、ジブロモクロロメタンとブロモホルムについては、
IARC(国際がん研究機関)では、グループ3(人に対する発癌性が分類できない)に含まれます。
トリハロメタンには、発がん性が疑われるものが存在しますし、
妊婦の流産率を上げると言われていますので、
かなり危険な物質であると考えられます。
また、現在の日本では、
水道水に含まれるトリハロメタンの量が規制されています。
ところで、トリハロメタンが最初に注目されたのは1972年で、
オランダのロッテルダムのルーク博士によりますと、
ライン川から、トリハロメタンの中のクロロホルムが検出され、
その原因は、河川水の塩素処理によることが報告されました。
また、1974年に、ロバート・ハリス博士によると、
ミシシッピー川の下流で水道水を使っていた住民のがん死亡数が、
他の地域で地下水を使っていた住民のがん死亡数よりも、
10万人当たり33人も多かったそうです。
また、その原因は、トリハロメタンだとされたそうです。
しかし、ロバート・ハリス博士の報告の中には、婦人層には、
がん発生率が低い、という相反する内容もあったそうです。
翌年には日本の水道水からもトリハロメタンが検出されたそうです。
また、1975年に、米国環境保護庁(EPA)によると、
全米の113都市の水道水を調査したところ、
多くの水道でトリハロメタンが検出されたそうです。
このような経緯で、トリハロメタンが危険な物質だと考えられるようなったようです。
1978年に、アメリカでは、トリハロメタンの総量を規制した法律が制定され、
そして、ヨーロッパの国々も同様にトリハロメタンが規制されたそうです。
また、日本では、1981年にトリハロメタンが規制されました。
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